「回想――祭りが始まり、時代が終わった」

「回想――祭りが始まり、時代が終わった」

 『美少女ゲームの臨界点』(東浩紀責任編集 波状言論 2004)に収録されている元長柾木の記事。


 全体の要約ではなく、自分の興味がある箇所のまとめ。


ゲーム性の四分類(pp.152-153)


シミュレーション性。

「世界律の面白さのこと」。ボードゲームスポーツゲーム、シミュレーションゲームなどの面白さを指す。「アドベンチャーゲームにおいて、選択肢の正解を探る行為も、その物語世界における世界律=ルールを探る行為であり、これもまたシミュレーションゲームに含まれる」。


アクション性

 「アクションの面白さのこと」。「アクションゲームシューティングゲームのように、運動神経に訴えかける面白さである」。空間操作性とシューティング性に分かれる。

 空間操作性は「自キャラをゲーム内空間で自在に動かすことの面白さ」、シューティング性は「より肉体的で、ボタンを連打して弾丸あるいはそれに準ずるものを次々に射出することの面白さ」


反復性

「同じような行動の反復が生む恍惚のこと」。RPGの戦闘など。

RPGの戦闘の面白さの本質は、敵を倒す方策を探ることにあるのではない。初めて遭遇した敵に対してはそんな楽しみもあるが、プレイ時間のほとんどを占めるのは、以前に遭遇し倒し方も知悉している敵との戦闘である。そのような敵と遭遇した時、プレイヤーは学習したルーチンに従ってほとんどメッセージを読むこともなく機械的に敵を打倒してゆく。

本来ならば面倒でしかないこの行為〔機械的な戦闘〕を優れたユーザインタフェースを介して行なうことで、トランス的な悦びが生まれるのである。またこの面白さを支えているのは、先に挙げた「シューティング性」である。


二次創作

キャラクターシチュエーションについてプレイヤーが想像を広げること、つまりゲームから離れて二次的に創作することの面白さ」


To Heart』以降の流れ(pp.154-155)

To Heart』の独自性は、「美少女ゲームゲーム性にアクション性と二次創作可能性を導入したこと」。


アクション性

テキストを送るためのマウスクリックにゲームとしての面白さを付与したのだ。すなわち、「文章を読む→クリックする→新しい文章が表示されてキャラクターの表情が変わる」という繰り返しによる面白さを演出した。これはシューティングゲームの根源的な面白さ――「敵が現れる→ボタンを押す→弾が発射されて敵が爆発」という気持ち良さ、先述の分類によればアクション性のうちシューティング性と同種のものである。


二次創作可能性

そしてこのアクション性こそが、二次創作可能性を生み出す。……〔中略〕……。ゲームはフィクションであり、ゲームをプレイする我々の肉体とモニターの中の架空のキャラクターの間には厳然とした壁がそびえ立っている。この壁を、アクション性によって主人公感情移入することで、一気に飛び越えるのである。

クリックのアクションによる感情移入紀田伊輔「ギャルゲーテキスト論」での指先の感情移入と類似した指摘。

クリックによって次のテキストを表示させるというシステムそのものが、主人公に対するプレイヤー感情移入、一体化を促すのだ。

紀田伊輔ギャルゲーテキスト論」)


反復性の獲得

Kanon』に到って、「反復性」を獲得することになる。日常シーンが異様に膨れ上がり、明けても暮れても他愛のない会話をキャラクターたちと繰り返すことになる。しかし不思議なことに、これは必ずしも苦痛にならず、それどころか快楽をもたらす。すなわち、シューティング性に支えられた反復性の恍惚である。


以下自論